ニューヨークにはメトロポリタン美術館など世界でも有名な美術館や、ギャラリー、博物館が街の至るところにあります。
そんな中でも、ニューヨーク・アストリアにある「Museum of the Moving Image(ミュージアム・オブ・ザ・ムービング・イメージ)」は、テレビやゲーム、映画などの歴史や技術・アートについて展示するアメリカ唯一の動画の美術館です。
今回は、大人だけではなく子供も一緒に楽しめる美術館として、この「Museum of the Moving Image」をご紹介します。
※1ドル=106円
Museum of the Moving Image概要
Museum of the Moving Imageとは
Museum of the Moving Imageは、パラマウント・ピクチャーズのスタジオがあった場所を利用し、人々に映画やテレビの技術、歴史、アートに関する理解を深めてもらうことを目的として、1988年にオープンしました。
映像のみにフォーカスした美術館というのは、アメリカではこのMuseum of the Moving Imageが唯一なんだそうです。
2011年1月にはリニューアルオープンし、ブルックリンの建築家であるトーマス・リーサー氏によって、現在のモダンなデザインの美術館へと生まれ変わりました。
Museum of the Moving Imageは金曜日の夜は入場料無料
ニューヨークの美術館でうれしいのが、入場無料、または寄付金だけで入場できる日があるというところです。私は美術館を回るときは、必ずチェックするようにしています。
Museum of the Moving Imageでは、金曜日の午後4時から8時までが入場料無料です。通常の入場料は以下の通り。
- 18歳以上の大人 15ドル(約1675円)
- 65歳以上のシニア 11ドル(約1228円)
- 3才~17才までの子供 9ドル(約1005円)
- 18歳以上の学生 ※学生証が必要になります 11ドル(約1228円)
- 3才以下の幼児は無料
Museum of the Moving Imageの入場料は決して高いわけではないですが、少しでも安くしたいという方にとっては、かなりの節約になると思います。
ちなみに、この入場無料の時間帯は日によっては混雑することもあります。ゆっくり見てまわりたいという方は、有料でも平日の昼過ぎなどに行くといいかもしれません。
Museum of the Moving Imageのメインのコレクション
昔のテレビがズラリ
この美術館でメインのコレクションは、2階と3階にある「Behind the Screen(スクリーンの裏側)」というタイトルの展示です。
15,000スクエアフィート(約421坪)という広いスペースには、19世紀に生まれた絵が動いて見えるおもちゃから、現在の映像機器へとどのように変化していったのかを学びながら見て回ることができます。
テレビ電話
面白いと思ったのが、こちらの大きな機械。実はこれ1920年代に、通信会社であるAT&T社が発明したテレビ電話なんだそうです。
まさか1920年代にテレビ電話が作られていたなんて驚きです。多くの電気会社がテレビに興味を持っていた中、AT&Tだけはテレビ電話を作ることに熱心になっていたことが説明書きで書かれていました。
Museum of the Moving Imageで一番人気のスポット
昔のゲームで実際に遊べるスペース
一番の人気のスポットとなっていたのが、この60年間で発売されたスポーツゲームが展示された部屋でした。初代のビデオゲームから最近のゲームまで、見るだけではなく実際に遊ぶことができる体験型の展示となっています。
最初期のコンピューターゲーム
このレーダーのような機械は、「Tennis for Two」と呼ばれる最初期のコンピューターゲームで、ミサイルの弾道計算の技術を使って作られました。放物線を描くボールを2人で打ち合って遊びます。
この Tennis for Two は原爆開発のマンハッタン計画にもかかわった物理学者で、ブルックヘヴン国立研究所の計測器部門の責任者でもあった、ウィリー・ヒギンボサムによって1958年に開発されました。
原子力の研究が行われていたブルックヘブン研究所では、毎年秋に行われる研究所の一般公開の際に、この Tennis for Two を公開し、地元住民の原子力への不安を和らげ、理解を得ようとしたのだそうです。
こういった歴史を、ゲームをしながら学べるなんて子供たちも喜びそうな良い工夫ですね。
Museum of the Moving Imageの見どころ
映画で実際に使われた小道具
テレビやゲーム以外にもMuseum of the Moving Imageの見どころはたくさんあります。
映画好きにはたまらない、映画撮影に使われた小道具が展示された部屋もその一つです。映画「マスク」や「スターウォーズ」に使われた被り物が展示されたコーナーもあります。(写真上)
ミニチュア模型
こちらは1982年に公開したSF映画「ブレードランナー」の撮影に使われたタイレル社のミニチュア模型です。巨大なセットを制作する経費を削減するために、こういったミニチュア版を作り、カメラワークと編集を駆使して実物のように見せていたそうです。
他にも映画に使われたセットや仕掛けが展示されていて、映画製作の裏側を垣間見ることができます。
Museum of the Moving Imageの特別展示
ジム・ヘンソンの特別展示
操り人形師で、映画製作者、TVプロデューサーでもあったジム・ヘンソンの特別展示が開催されていました。
ジム・ヘンソンと言えば、日本でもお馴染みの人気テレビショー「セサミストリート」を創り出したことで有名。操り人形を使ったエンターテイメントを世間に広めた、アメリカで最も重要な操り人形師と言われています。
セサミストリート以外にも「カエルのカーミット」、「マペット・ショー」など数々の人気ショーを生み出したジム・ヘンソン。展示には、撮影に使われた人気キャラクターたちが勢ぞろいしていました。
ジム・ヘンソン直筆のアイディアやネタのメモもありました。他にも、「マペット・ショー」の撮影風景の動画が上映されていて、テレビでは見ることのできなかった舞台裏での細かい動きまで見ることができます。
Museum of the Moving Image内のカフェ
開放感のあるカフェでひと休み
Museum of the Moving Imageを見て回った後は、広々としたモダンなデザインのカフェでひと休みすることができます。白を基調にした少し未来的なデザインですが、外からの光が差し込みとても落ち着いた雰囲気です。
飲み物はコーヒーやティー、炭酸ドリンクがあり、軽食にはサンドウィッチ、クッキーやカップケーキ、ブラウニーなどが置いてあります。
暖かくて天気が良い日は、開放感のある中庭でゆっくりするのもおすすめです。
基本情報
- 名称: Museum of the Moving Image(ミュージアム・オブ・ザ・ムーヴィング・イメージ)
- 住所: 36-01 35th Ave, Astoria, NY 11106
- 電話番号: (718) 777-6800
- 営業時間: 水、木曜日 10:30~17:00 金曜日 10:30~20:00 土、日曜日 10:30~18:00
- アクセス: オレンジのF、Mライン、黄色のRラインで Stainway Street 駅下車 徒歩5分
または黄色のN、Wラインで 36th Avenue 駅下車 徒歩7分 - WEBサイト:http://www.movingimage.us/
まとめ
マンハッタンのミッドタウンから電車で約30分と、少し離れた場所にあるMuseum of the Moving Imageですが、実際に昔のゲームで遊びながら歴史を学べる博物館はここだけ。
周辺にはセサミストリートの撮影が行われているスタジオや、おいしいレストランなど見どころもたくさんあります。
ぜひアストリアまで家族で足を伸ばして、動画の歴史を学ぶ貴重な体験をしてみてはいかがでしょうか。