セントラルパークの西側に位置するアッパーウエストエリアに、ニューヨークで一番おいしいと言われるクッキーを作っているベーカリーがあります。それが1994年に開業した「Levain Bakery(ルヴァン・ベーカリー)」。
焼きたての分厚いクッキーを食べられるだけでなく、セントラルパークへも近いことから、散歩のついでに立ち寄る地元の人たちで店内はいつもにぎわっています。今回はそんな行列のできるベーカリー、ルヴァン・ベーカリーをご紹介します。
※1ドル=約106円
ルヴァン・ベーカリー概要
ルヴァン・ベーカリーとは
1994年にアッパーウエストの74番通りにオープンしたルヴァン・ベーカリー。オーナーは2人の女性、パム・ウィークスさんとコニー・マクドナルドさんです。
当時パムさんはファッション業界に、そしてコニーさんは金融業界とそれぞれ違う業界にいた二人ですが、競泳選手としてアイアンマンレース(トライアスロンをもっと長い距離にしたレース)の練習に参加した際に知り合います。
鉄人のみが立ち向かえるレースとして知られているアイアンマンレースの練習はとても過酷で、いつもお腹を空かせていたという2人。
練習後に食べていたレギュラーサイズのクッキーに満足できず、コニーさんが「じゃあどこにも売ってない大きいクッキーを作ってみよう」ということで、自分たちでクッキーを作り始めたことがはじまりだそうです。
ルヴァン・ベーカリーは大きなクッキーが魅力
そんな裏話も納得、ルヴァン・ベーカリーのクッキーは約6オンス(約170グラム)というかなりの重さ。日本で売られている通常のクッキーの重さがだいたい10グラム以下なので、どれだけルヴァン・ベーカリーのクッキーが大きいのか想像できると思います。
オープンして数年後の1997年には、有名新聞社ニューヨーク・タイムズで「マンハッタンで一番おいしいクッキー」と紹介されるほど人気のお店へと成長し、その後も地元の人や世界中から来る観光客に愛され続けています。
ルヴァン・ベーカリーの名前の由来
ルヴァン・ベーカリーのルヴァン(Levain)というのは、フランス語で小麦粉、水、野生酵母からなる天然の膨張剤のことだそうです。
今では美味しいクッキーで有名なベーカリーとなったルヴァン・ベーカリーですが、実はパムさんとコニーさんはルヴァン・ベーカリーをオープンする前から、パンも自分たちで焼いていて、そのパンをニューヨークのレストランやカフェに卸売りしていたんだそうです。
自分たちのベーカリーをオープンしようと決めたとき、フランス語で「天然の膨張剤」というルヴァンという言葉が、アメリカではサワードウ・スターターという名称で知られていたことから、「自然派のスターター(競技者、始める人)」という意味を込めてルヴァン・ベーカリーという名前にしたそうです。
ルヴァン・ベーカリーの店内
たくさんのお客さんで賑わう
お店の中のスペースはとても狭く、食べるスペースは4席ほどしかありません。そのためいつも店内は人でいっぱいです。特にお昼過ぎになると、ランチを終えたワーカーや近所に住む主婦、セントラルパークから歩いて来た観光客で列が外まで続きます。
一番混むピークは土日の午後2時から4時までで、一番空いているねらい目の時間は、平日の朝9時頃です。とは言っても、どんなに長い列が続いても比較的回転は速いので、そこまで長い時間待たされることはありません。
ルヴァン・ベーカリーのおすすめ
焼き立ての分厚いクッキー
サイズは普通のクッキーに比べるとかなり大きくて分厚く、重さもずっしりです。値段は一つ4ドル(日本円で約434円)。
何と言ってもルヴァンのクッキーは、外がサクサクで少し固めなのに対して中身の生地はしっとりやわらかいのが特徴です。そのまま一口かじってしまうのもいいですが、おすすめの食べ方は半分に割って内側から食べていく方法だそうです。
これはたまたま私の前に立っていた常連さんが教えてくれました。そうすることで、真ん中のほくほくの生地を最初に味わうことができるからと、その方は話していました。
1つでも食べ応えたっぷり
写真はチョコレートチップ・ウォールナッツ・クッキー。半分に割ってみるとゴロゴロとした大粒のチョコレートが溶け出します。
パムさんとコニーさんは、このルヴァン・ベーカリーのクッキーの作り方をユーチューブで公開していて、その動画によると、生地を形作る際には、手でおにぎりのように捏ねて形を作ろうとせず、軽く空気を入れるようにして優しく緩く形を作るのがコツだそうです。
ちなみに一つのクッキーのカロリーは、およそ500から600カロリーなんだとか。一人で食べるにはちょっと大変です。
多彩な種類も魅力
他にも、ダークチョコレートチップ・クッキー、ダークチョコレート・ピーナッツバターチップ・クッキー、オートミール・レーズン・クッキーなどの種類があります。
メニューはWEBサイトでもチェックできるので、行く前に確認しておくといいでしょう。
ルヴァン・ベーカリーでの注意
アレルギーの方
最近のレストランやカフェでは、グルテンフリーやアレルギーフリーのメニューを出しているお店が多くなりました。特にアメリカ人はナッツ類のアレルギーを持っている人がとても多いため、アレルギー持ちの人用のメニューが用意されていることもあります。
しかし残念ながら、ルヴァン・ベーカリーのメニューにはくるみやピーナッツ、小麦、卵が使われています。店内に貼られているサインにもしっかりと書かれていますが、何かしらのアレルギーを持っている方は必ず、スタッフに確認するようにしてください。
ルヴァン・ベーカリーで売れ残ったクッキーは寄付される
その日に焼いたクッキーしか販売していないルヴァン・ベーカリーですが、売れ残ったクッキーはどこへ行くのかというと、低所得で満足した食事を取れていない人、またはホームレスへのサポートをしている「Gives me hope」や「Food bank」などといった地元のチャリティー団体へと送られ、寄付されるそうです。
残った商品を無駄にせずに、ローカルのチャリティー団体のサポートに取り組んでいるなんて、なんだか嬉しいですよね。
ルヴァン・ベーカリーセントラルパークまでお散歩するのもおすすめ
ルヴァン・ベーカリーを後ろに見て左に向かうと、2ブロック先はセントラルパークの西側に突き当たります。
騒々しいミッドタウンに比べて、ルヴァン・ベーカリーのある74番通りは落ち着いた雰囲気の高級住宅街エリアです。
美味しいクッキーを購入した後は、セントラルパークに向かってお散歩するのもおすすめです。日本ではあまり見られない、ブラウンストーンと呼ばれる赤褐色砂岩の住宅地を見て回ることができます。
約5分ほどその74番通りを歩いていくと、セントラルパークが見えてきます。セントラルパークに突き当たったら、2ブロックダウンタウン方向に歩いていけば、セントラルパークの72番通りの入り口にたどり着きます。
シープ・メドーでピクニック気分も
その72番通りの入り口からセントラルパークに入ってダウンタウン方向に下っていくと、シープ・メド―と呼ばれる大きな野原へとつながっています。
ここは夏になると、ヨガや日光浴をする人々でにぎわう人気のスポットで、インスタ映えする絶好の場所としても知られています。遠くには木々の上から高層ビルが顔を出し、緑と都会の融合を楽しむことができますよ。
もしお天気が良ければ、ルヴァン・べーカリーでクッキーを買って、シープ・メド―でピクニック気分を味わうのもおすすめです。
ルヴァン・ベーカリー近くには広いスペースの店舗も
2017年7月には、広くて席の数も多いカフェスタイルの店舗がオープンしました。74番通りからたった2ブロック半離れた、76番通りと77番通りの間のアムステルダム・アヴェニューにあります。
スペースが広くなっただけではなく、営業時間も長くなったこの店舗。ゆっくりと落ち着いて味わいたいという方にはぴったりの場所です。家族連れで訪れた観光客に人気です。
ちなみにマンハッタンには、他にも2011年にハーレム店もオープンしています。
アクセス情報
Levain Bakery(ルヴァン・ベーカリー)74番通り店
- 住所:167 W 74th St, New York, NY 10023
- 電話番号:(212) 874-6080
- 営業時間:毎日8:00~19:00まで営業
- アクセス:赤の1、2ラインで79street駅下車 徒歩2分
- 公式WEBサイト:https://www.levainbakery.com
Levain Bakery(ルヴァン・ベーカリー)アムステルダム・アヴェニュー店
- 住所:351 Amsterdam Avenue, New York, NY 10024
- 電話番号:(212) 874-6080
- 営業時間:毎日7:00~20:30まで営業
- アクセス:赤の1、2、3ラインで72street /Broadway駅下車 徒歩4分
Levain Bakery(ルヴァン・ベーカリー)ハーレム店
- 住所:2167 Frederick Douglass Blvd, New York, NY 10026
- 電話番号:(646) 455-0952
- 営業時間:月曜日~土曜日 8:00~19:00 日曜日 9:00~19:00
- アクセス:青のA、Cライン、またはオレンジのBラインで116th street駅下車 徒歩1分
まとめ
世界中から訪れる観光客や、地元ニューヨーカーに愛され続けているルヴァン・ベーカリー。
ニューヨークにペントハウスを持つテイラー・スウィフトや、長身モデルのカーリー・クロスなど、セレブの中にもファンは多いそうです。運が良ければ、セレブを目撃するチャンスがあるかもしれません。
セントラルパークに行く際には、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。