今ニューヨークで最も多く注目を浴びているエリア、ハドソン・ヤード。市内でも最大規模の都市再開発が行われている地区で、2019年3月に第1段階となる東側のエリア「イースタン・ヤード」がオープンしました。
オープン後はじめてハドソン・ヤードへ行ってきたので、その様子をご紹介したいと思います。
※1ドル=約106円
ハドソン・ヤードの都市再開発プロジェクト
ハドソン・ヤードは28エーカー(11万3,312平方メートル)の広大な土地を使って都市再開発が行われています。総事業費はなんと250億ドル(約2兆6,750億円)にも上り、アメリカ史上でも最大規模の都市再開発プロジェクトと言われています。
イースタン・ヤードがオープン
この開発はイースタン・ヤードとウエスタン・ヤードの2つのエリアに分かれています。第1段階となるイースタン・ヤードが2019年3月に完成したばかりです。
このイースタン・ヤードではレストラン、コンドミニアム、パブリックガーデン、ショッピングモール、複合文化施設が立ち並びます。そしてすでに観光客でにぎわいを見せています。
また、2025年に完成予定となっているウエスタン・ヤードでは、さらなる居住施設やオフィス、そして小学校が建設される予定だそうです。
今メディアから注目されている理由
都市再開発プロジェクトはロック・フェラー・センターが1939年に完成して以来、約80年ぶりの大規模な開発となります。
開発によりニューヨークのGDP(国内総生産)に190億ドル(約2兆330億円)を貢献し、年間5億ドル(約535億円)の市税収入を生み出すと開発者たちは予想しています。経済を動かす大きなプロジェクトということで、多くのメディアが取り上げています。
ハドソン・ヤードの場所
34th Street-Hudson Yards駅を出てすぐ
ハドソン・ヤードへは紫の7ラインの34th Street-Hudson Yards駅で下車します。駅のエスカレーターを上がって行くと、まだ建設が進められている超高層ビルが目の前に立ちはだかります。
駅から出て右に歩いていくと、まるで近未来都市に来たかのような異次元の景色が広がります。空高く伸びるビルは、どれもユニークでモダンなものばかりです。
ハドソン・ヤードの新しいシンボルとなっている展望スポット「Vessel」の周りには、写真撮影をする観光客で混み合っていました。
Vesselの周りには、上の写真のようなタッチパネルのインターネットキオスクがいくつか設置されています。ハドソン・ヤードのインフォメーションや地図が見られるようになっていました。
ネットキオスクの前にはハドソン・ヤードのスタッフが1人ずつ立ち、丁寧に観光客の対応をしている姿もありました。
ハドソン・ヤード(Hudson Yards)施設情報
- 名称:ハドソン・ヤード(Hudson Yards)
- 住所:20 Hudson Yards between 30th and 34th street
- 電話番号:(646)954-3100
- アクセス:紫色の7番ラインで34th Street-Hudson Yards駅下車、徒歩1分
- WEBサイト:https://www.hudsonyardsnewyork.com/
ハドソン・ヤードの新しいシンボル「Vessel」
ハドソン・ヤードのシンボルとして注目を集めているのが、展望スポット「Vessel」。イギリスのトーマス・ヘザウィックさんによってデザインされました。
ハドソン・ヤードを訪れた人に、いろいろな視点で景色を楽しんでほしいと話すヘザウィックさん。8階建てとなっているVesselには2,500段の階段と80個の踊り場が設置され、階を上がるごとに見える景色が変わっていきます。
そのユニークな形から、オープン以来毎日のようにソーシャルメディアでも写真がアップされているモダンなアート建築です。
展望スポット「Vessel」へ上るには
Vesselに上るにはチケットが必要になります。
チケットの入手方法は2つあり、ひとつは当日現地で手に入る「Same-Day」チケット。このチケットは現地にいるスタッフが毎朝9時半から配布しています。できるだけ早めに行って、スタッフにチケットがあるか聞いてみましょう。
ただ混んでいると、朝早く行っても次の時間まで待たなくてはいけないことがあります。時間を無駄にしたくない人はオンラインで予約する方法をおすすめします。
オンラインでは14日先までのチケットを予約できます。日にちと時間を選択し、住所とメールアドレスさえ入れればすぐに予約ができるので、予定が決まり次第すぐに入力しましょう。
登録したメールアドレスに予約完了のメールが送られてくるので、当日はそのメールを入り口のスタッフに見せるだけです。
ハドソン・ヤードのショッピングモール「The Shops & Restaurants」
Vesselの隣には100店以上ものショップやレストランが入ったモール「The Shops & Restaurants」もオープンしていました。
COACHやCHANEL、LOUIS VUITTONなどのラグジュアリーブランドがあります。他にもH&MやZara、そしてユニクロなどのファストファッションブランドも出店しています。
トム・フルーンのウォータータワー
ショッピングモールの1階のエレベーター横には「ウォータータワー」というアート作品が飾られていました。ニューヨーク・ブルックリン在住のアーティスト、トム・フルーンさんのものです。
これはフルーンさんの作品でも有名なシリーズで、ニューヨークの随所に設置されています。
ハドソン・ヤードの複合文化施設「The shed」
「Vesselに続き、今度はいったい何?」と疑問に思ってしまうこの建物。コンサートやダンス、演劇や美術品の展示など多目的用に作られた文化施設「The Shed」です。
デザイン・設計はディラー&スコフィディオ+レンフロと、ミュージカルの舞台デザインなどで有名な建築家デヴィッド・ロックウェルさんが担当しました。
なんと行われるイベントに合わせて、外側を覆うシルバーの外壁が動くようになっているんだそうです。5月にはアイスランド出身の歌手ビョークさんがコンサートを行い、最新のテクノロジーを駆使したパフォーマンスで話題を呼びました。
ハドソン・ヤードはハイラインにもつながっている
The Shedの前を通り過ぎると、昔使われていた鉄道ラインを改装して造った「ハイライン」に接続する入り口があります。
まだ完璧に工事が終わっていないので少しわかりにくいですが、The Shops & Restaurantsを左手にしてまっすぐ進んだ突き当たりにあります。
ハドソン・ヤードを一通り楽しんだ後は、超高層ビルと緑が融合した空中公園のハイラインを散歩しながらチェルシーマーケットまで行くのもおすすめです。
まとめ~賛否両論の再開発は未完成
多くのメディアがこの再開発プロジェクトを「都市改革の中でも大きな可能性を持った試み」と称賛しています。
一方、ニューヨークマガジン評論家のジャスティン・デイビットソンは2019年2月の記事で「億万長者のための空想の街」とコメントを出すなど、批判的な意見も出ています。
全ての工事が完成となる2024年にはハドソン・ヤードがいったいどうなっているのか、今後期待がかかります。